雪降る徳島と阿佐海岸鉄道の旅
阿佐海岸鉄道のDMV導入に伴うダイヤ改正(2020年7月18日)について
阿佐海岸鉄道(海部〜甲浦)では2021年春頃から阿波海南〜甲浦間でのDMV(線路と車道の両方を走れる車両)を導入することが決まっており、これまで海部駅で接続を取っていたJR牟岐線は2020年7月18日のダイヤ改正をもって牟岐〜海部間で長期間運休し、工事期間中は代行バスが運行されることとなっています。
工事完了後はJR牟岐線の阿波海南から海部までの一区間は阿佐海岸鉄道に編入されることとなり、同時に阿佐海岸鉄道を走る気動車はDMVに役目を譲って引退することが決まっています。
2020年7月17日を最後にJR線と阿佐海岸鉄道車両の接続が事実上の見納めとなることから、これを機に「列車同士の接続」の当時の様子を写真を通して振り返ってみたいと思います。
本記事は2018年2月に撮影したものとなりますので、現在とは若干運行形態が変わっている部分があります。何卒ご了承ください。

大雪の徳島を発つ

時は2018年2月。当時の四国地方は寒波に襲われており、徳島市内でも積雪するくらいの大雪が降るなど少し変わった旅の幕開けとなりました。
まずは徳島駅を朝10時前に出発する牟岐線特急「むろと」に乗って終点の牟岐まで向かいます。車両はキハ185系で2両編成と短いですが、非常に空いているので自由席の切符でも確実に座って行くことができます。終点までは1時間20分程なのであっという間に着いてしまいます。
四国で大雪に見舞われることは珍しい 朝の徳島駅は忙しい 横殴りの雪..
特急「むろと」のご紹介
2018年当時の特急「むろと」は徳島〜牟岐間を1日3往復(朝・昼間・夜間)走っており、徳島〜阿南間で通勤・通学時間帯に運行される「ホームエクスプレス阿南」の1往復と併せて運行されていました。2019年3月のダイヤ改正で1往復にまで減便され、朝の上り列車(徳島行き)と夜の下り列車(牟岐行き)を残すのみとなりました。
この日はキハ185-17・18が充当され、この編成は観光キャンペーン等で団体専用列車として使用する目的があり、デビュー当時を再現したリバイバルカラー(3両のみ)となっています。JR四国管内では珍しい緑色の塗装なのでよく目立ちます。
デビュー当時はこのようなカラーリングであった 青空を背景に緑の車体が際立つ
海部まではもう一息
牟岐駅では1両編成の普通列車にお乗り換え。徳島の通勤圏は既に過ぎており、ここまで来ると乗客は数人となってしまいました。海部までは約15分とあっという間ですが、途中で左手に海を眺めることができます。
「緑」のキハ185系を背景に おなじみ1500型気動車 少し高い所を走るので景色が良い
海部駅の様子
JR四国の駅名標 こちらは阿佐海岸鉄道
海部駅では構内踏切を使って階段ではなく線路上を渡って乗り換えます。
2021年春頃からは接続駅がお隣(現JR阿波海南駅)に移され阿佐海岸鉄道の気動車も引退してしまうため、列車同士が隣り合う姿も懐かしいものとなりそうです。
JRと阿佐海岸鉄道の横並びも見納め 阿南・徳島方面を望む(奥の短いトンネルにご注目)
阿佐海岸鉄道のご案内
阿佐海岸鉄道は海部〜甲浦間(8.5km)を結ぶ路線で途中駅が1つ(宍喰駅)しかなく、11分で乗り通すことができます。
車両は2種類あり今回乗車したのはASA-300形で、高千穂鉄道(廃止)から2009年に譲渡された車両です。「平成」を走り抜いたと考えると車齢30年超のベテランですね。
正面から眺める 雰囲気はJR西日本キハ120系に近い 平成元年から活躍してきた
甲浦駅の現在
甲浦駅は「高知県」 線路を伸ばす計画があったのか.. なんとも立派な高架駅
DMVの導入に伴って駅一帯で大規模な改築が行われるため、駅舎や線路の位置も変わってしまうものと思われます。
当初は延伸計画があったためなのか駅は高架となっており、いかにも「終着駅」という雰囲気でもありませんでした。
当駅は室戸方面への路線バスが1日7本運行されており、室戸岬を訪れるには便利な駅でした。
風格のある駅舎(おそらく見納め) 駅前道路 かなり高い位置に駅がある
まとめ
気動車が走る阿佐海岸鉄道が将来的に見られなくなってしまうことは正直寂しいものです。
しかし「全国初のDMVの実用化」という明るい未来もあり、どのように雰囲気が変わるかなどは気になってしまうことでしょう。
気動車の引退までおよそ半年間残っているので、これを機にぜひ乗車してみてはいかがでしょうか。