横浜の知られざる狭隘路線!11系統「YAMATE LINER」乗車記

バス乗車記
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神奈川中央交通 11系統「YAMATE LINER」乗車記

(この記事は、横浜市を走る神奈川中央交通の11系統「YAMATE LINER」の乗車記です。)

11系統は桜木町駅から保土ヶ谷駅を結ぶ路線です。地図上で保土ヶ谷駅と桜木町駅を繋いでみると、大した路線ではないと思うかもしれません。しかし、11系統は山手の山の上を遠回りし、40、50分以上かけて走ります。それ故、横浜市内の観光路線的な性格も持っている路線です。
しかも、経路が横浜市内屈指の狭隘区間となっています。バス同士のすれ違いができないため、鉢合わせしないようにバス専用信号が設置されているほどの狭隘区間です。
また、観光地を走ることもあり、車両やバス停も専用のものが使用されている、特別な路線です。

さらに、YAMATE LINERは多くの鉄道駅を経由することも特徴の一つです。乗りやすさも抜群です!

では、始発駅の桜木町駅から乗車記を始めていきます。

桜木町駅

今回は桜木町駅から乗車しました。桜木町駅前は、観光地としての横浜・みなとみらいの玄関口となっており、駅前の景色も綺麗です。また桜木町駅は日本の鉄道発祥の地とされており、そんな歴史的な地から出る特別な路線、と言ったら大げさですが、、、情景が深まりますね。

桜木町駅です。今でも、大きいターミナル駅となっています。
桜木町駅前からは、(写真に映っていないですが)ランドマークタワーや、コスモワールドの観覧車など多くの「横浜的」な建物が見えて、いい景色です!

YAMATE LINERは、桜木町駅のバスターミナルから発車します。桜木町駅前は大きいバスターミナルになっているので多数の乗り場がありますが、駅側の動く歩道の下あたりの乗り場が11系統「YAMATE LINER」の乗り場となっています。

YAMATE LINERの大きな特徴といえるのが使用されるバスです。山手や元町などの、いわゆるお洒落かつ高級な場所を通るからだと思いますが、通常の神奈中バスとは違う特別塗装のバスが運用に入っています。ほとんどノンステップバスで、ワンステップバスの数はかなり減らしています(ワンステップバスが来たら相当ラッキーだと思います)。

専用車両を横から 短尺のノンステップバスです。
通常の神奈中バスの塗装と比べると、全く異なる塗装になっていることがわかります。

いよいよバスに乗り込んでいきます。全体を通して乗るとかなり時間がかかるYAMATE LINERですが、全区間が横浜市の均一運賃区間となっているため、どこまで乗っても先払いで220円の運賃となっています。YAMATE LINERファンの私からすると、220円でこのバスを堪能できるのは安すぎるくらいです。

空いてる時間かつコロナの影響もあり、桜木町発車時点ではこのようなガラガラさでした。
YAMATE LINER専用車の特徴として、座席のモケットが通常の神奈中バスと異なる専用のものであることが挙げられます。紺色の、ちょっと上品なモケットとなっております。

上品な青塗装

モケットの色の塗分けとしては、神奈中バスの一世代前の緑のモケットと同じ塗分けとなっています。
それにしても↓のシールは、綺麗に上下さかさまに貼り直されていますね・・・

桜木町駅を出発!

バスは桜木町駅を出発すると、大通りを進んでいきます。
この辺りは横浜市のオフィス街と観光地が共存したような奇妙な雰囲気となっていて、大通りの両端にはレトロな建物と今風のビルが多く並んでいます。

歴史のありそうな建物

馬車道駅付近に、とても歴史のありそうな建物がありました。こちらは三井住友銀行横浜支店で、1931年から営業しているそうです。

桜木町駅を出た後はみなとみらい線の真上を通り、馬車道駅、日本大通り駅を通りながら元町・中華街駅まで進みます。

中華街・元町を通りYAMATE LINERの本領発揮へ!

日本大通り駅(「日本大通り駅県庁前」バス停)を過ぎてほどなくすると、「中華街入口」バス停で、元町・中華街駅の入り口と横浜中華街の門を車窓から望めます。

中華街入口を過ぎ少し走ると、横浜を代表するオシャレなショッピングモールである元町のすぐ横を通ります。
元町の通りの入り口には「元町入口」バス停が設置されており、通常であれば多くの乗車があります。元町入口バス停は、元町・中華街駅を元町側最寄りバス停となっています。


しかしこのコロナ禍のご時世なので、私が乗った便は元町入口から数人しか乗車してきませんでした…
ガラガラな状態で、いよいよ急坂を登り狭隘区間に突入です。

元町入口を出ると、港の見える丘公園前に向けて急坂を上ります

急坂を登ると「港の見える丘公園前」バス停に到着します。港の見える丘公園は言わずと知れた横浜の観光地で、ここまでは横浜の超有名観光路線「あかいくつ」も乗り入れてきます。

港の見える丘公園

港の見える丘公園前を過ぎると、元町公園前、代官坂上、山手町、イタリア山庭園前と停車していきます。この辺りは名所と住宅地が混在しているような場所で、少し独特な雰囲気です。この周辺にはフェリス女学院や横浜雙葉といった名門女子校も点在します。
この付近は地図上でみると一見、石川町駅の近くにあると思ってしまいそうですが、実際は急坂を上った所をバスは走るので、バスの優位性は高いです。

少し脱線、、「フェリス女学院」バス停について

話が逸れますが、YAMATE LINERはフェリス女学院の目の前を通り、近くにバス停もあります。しかし、「フェリス女学院」というバス停名ではありません。
実は、神奈中の「フェリス女学院」バス停は相鉄線の緑園都市駅の近くのフェリス女学院大学の付近に設置されています。どちらも駅から歩ける距離にあるため誤乗は無いと思いますが、少し混乱してしまいますね(笑)

緑園都市駅のバス停

緑園都市駅を発着するバスは東戸塚行きと戸塚行きがあるのですが、このYAMATE LINERと同じ舞岡営業所の管轄です。面白いことに舞岡営業所には、YAMATE LINERの代走運用に対応できるように、側面のYAMATE LINERの表記を「KANACHU BUS」に書き換えただけの車両が一定数存在しており、一般路線に充当されています。ぱっと見YAMATE LINER塗装とあまり変わらないので、ほとんど同じ塗装のバスがフェリス女学院の二つのキャンパスを通るということになっていて、非常に興味深いです!

緑園都市駅を発着する神奈中バス

知らないうちに、根岸線をオーバーパス

なお、山手町~イタリア坂庭園前間でJR根岸線と本牧通りをオーバーパスします。実際に乗っていたら何もわかりませんが…
山手や本牧に直行する鉄道・道路は、石川町駅付近をを出るとトンネルをくぐりこの山手の高台を潜り抜けるのです。

ちなみに、本牧通りを走って本牧方面に向かうバスはいずれも超高頻度なドル箱路線で、横浜駅や桜木町駅などに多数運行しています。
毎時3本走ればいい方のYAMATE LINERとは雲泥の差ですね、、、

山手の高台をトンネルで潜り本牧方面に向かう本牧通りは、昔横浜市電が走っていた経路でもあります。山手の高台を山手駅方向に下ると、トンネルを出た所には、市電の麦田車庫跡地もあります。

横浜市電の麦田町跡地

高台を走ることを実感!切通しの上を通る打越橋

バスは根岸線の上を通過し、山手の住宅街の独特な雰囲気が色濃くなってきます。いくつかのバス停を通過し、「地蔵坂上」バス停では横浜共立学園中高の前を通過します。また「打越橋(うちこしばし)」バス停では、伊勢佐木長者町駅方面から根岸方面を結ぶ切通しになっている道路の上を橋で跨ぎます。車窓から横浜のビルの数々を望むことができ、この路線が走っている場所の標高の高さを感じます。

なお、打越橋は、関東大震災後に建てられた歴史のあるアーチ橋です。(参考)

打越橋
打越橋を下から見た様子(引用)
妖精書士 – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3569909による

この下の道路も当然のようにバス街道です。先ほどの本牧道路ほどとはいきませんが、バスは一時間に4~5本走っています。
ここも本牧道路と同様、横浜の市街地から、打越橋の下にある「山元町」バス停まで市電が走っていたそうです。

カーブだらけの狭隘区間へ

この付近から、特に道幅が狭くカーブだらけの道になっていきます。当然、バス同士のすれ違いは不可能です。

わかりにくく恐縮ですが、↓の写真は右方向のカーブを曲がるときの様子です。

道幅をいっぱいに使って右に曲がっていきます。

無事に曲がり切りました。YAMATE LINERの経路上には、このようなカーブが多数存在します。

↓の写真を見ると、カーブの多さがわかると思います。

ちなみに、上の写真からもわかると思うのですが、YAMATE LINERの単独区間のバス停のポールは普通の神奈中のバス停とは異なるオリジナルなデザインで、車両の塗色に合わせてあります。

すれ違いは道幅の広いところで行いますが、それでも減速して道幅をいっぱいに使ってすれ違います。狭隘区間にはバスの離合用の信号が設置されているようで、狭隘区間で鉢合わせになってしまうのを防いでいます。また、バスの時刻自体がすれ違いを考慮したダイヤになっていると思われます。

鬼門の狭隘区間である住宅街を通り過ぎると、「山谷」バス停の付近で根岸の米軍住宅が車窓に見え始めます。この辺りで、今まで通ってきた道とは雰囲気が一変します。

綺麗に整備されている広々とした米軍住宅が目に入った後は、右に曲がり、今度は急坂を下ります。

急坂を降りると、鉄道と交差しながら保土ヶ谷駅へ

急坂を降りると、ほどなくして蒔田駅に到着します。その後は、細い道路を何本か経由しながら、基本的には幹線道路を通り、保土ヶ谷駅に至ります。

狭隘区間とそうでない区間の差が激しいことは、この路線の特徴の一つでもあります。

なお、蒔田駅を経由したのち、次に経由する鉄道駅は京急線の井土ヶ谷駅です。

井土ヶ谷駅では、高架下のこの位置にバスが止まります。なので、保土ヶ谷駅方面は本当に「改札の目の前」にバス停があります。バスと電車の乗り継ぎは非常に便利だと思います。

保土ヶ谷駅に到着!

井土ヶ谷駅を出て少し走ると、終点の保土ヶ谷駅に到着です。保土ヶ谷駅東口のバスターミナルは駅から道路を挟んだところにあり、相鉄、市営、神奈中が発着します。

前に述べたように、YAMATE LINER塗装のバスは舞岡営業所の他の路線にも使われており、保土ヶ谷駅からも、茶色のバスが芹が谷などに発着しています。

芹が谷に向かうYAMATE LINER塗装

まとめと今後

YAMATE LINERは桜木町駅と保土ヶ谷駅を遠回りしながら結ぶ路線です。何と言っても山手の高台の狭隘区間を激走する様子が見どころで、車両、バス停なども専用のものを使っていて、いわゆる「特別」な路線です。

また、YAMATE LINERの経路を見てみると、元町・中華街から蒔田、井土ヶ谷、保土ヶ谷駅など、駅から駅の移動にも一応使える路線であることがわかります。山手の高台を遠回りしていく時間のかかる路線で、時間短縮効果はあまりありませんが、とても有用な路線です。

しかし、11系統は採算がとれておらず、横浜市営バスから神奈中に移管された経緯があります。また、現在も横浜市の補助金頼みで運営している状況です。11系統の土日の混雑状況を見ていると到底赤字路線には見えないですが、運行距離が長い関係上、採算がとりにくい路線であることは事実だと思います。なので、今後が心配な路線でもあります。

最後になりますが、YAMATE LINERは本当に見どころ満載な面白い路線です!バスには興味ないよ、、みたいな方も、ぜひ乗ってみてください!
横浜観光の足としても使えますよ!!

この記事を書いた人

乗り物好きの現役大学生です。
元々鉄道好きでしたが、最近はバス、フェリー、飛行機に浮気中。

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