《青春18きっぷで乗れる乗り得車両シリーズ》北海道編
普通列車しか使えない青春18きっぷですが、普通列車なのに特急の車両を使っているなど、特別な「乗り得列車」が多数存在します。
このページでは、北海道の青春18きっぷで乗れる乗り得列車をまとめました。
また、青春18きっぷと同じような切符である「北海道・東日本パス」で乗車できる乗り得列車についてもまとめています。
無料でリクライニングシートに乗れる列車
ふらの・びえい号
「富田ファーム」などで有名な富良野のラベンダーや美瑛観光を目的とした列車である、「富良野・美瑛ノロッコ」号の混雑が予想される時期に、ノロッコ号の続行列車として毎年運転されている、キハ183系の臨時快速です。
特急型車両が使用されるので、リクライニングシートに追加料金なしで座ることができます。
ただ、インバウンド客が少なくなってきている現状では、2021年以降も運転されるかどうか不透明です。2020年は運行されませんでした。
↓ふらの・びえい号に使われるキハ183系気動車です。
↓車内のイメージです。キハ183系には、複数の種類のリクライニングシートがあります。
運行区間
旭川~(美瑛経由)~富良野
uシート(無料開放)
新千歳空港~札幌~小樽間を結ぶ、快速「エアポート」には指定席「uシート」が連結されています(後述)。
そのuシートに使われる車両が、快速エアポートではない列車に使用されることがあり、その場合はリクライニングシートが自由席として開放されます。
uシートはチケットホルダー付きのリクライニングシートです。
主な運行区間
- 小樽~札幌~新千歳空港(函館本線・千歳線)
- 北海道医療大学~札幌(札沼線)
札沼線では、uシートがついている編成が運用に入ることが多いようです。
ですが、毎日全ての列車にuシート車両が連結されているわけではないため、運要素が強い乗り得列車ではあります。
札沼線をuシートで乗車したときの乗車記はこちら
しかし、uシート車に確実に乗れる運用があります。それは、小樽~札幌や、石狩当別~札幌間が普通列車となる快速エアポートの列車です。これらの列車では、小樽~札幌は全車自由席で運転されるため、uシート車が無料開放されます。
小樽~札幌間が普通列車となる快速エアポートは、主に小樽→札幌方面ゆきの朝の列車、札幌→小樽方面ゆきの夜の列車です。
キハ54系普通列車
キハ54系500番台は、北海道の各地を走る気動車ですが、一部の車両にはキハ183系の廃車発生品のリクライニングシートが搭載されています。
リクライニングシートは集団見合い式となっていて、回転はできません。
また、釧路には一両のみ789系の廃車発生品を利用した新しめのリクライニングシートが装備されている車両があり、グレードが高くなっています(「ルパン三世」ラッピング車両)。
なお、リクライニングシート搭載車ではなくても、0系新幹線などの廃車発生品の転換クロスシートが搭載されておりそこそこ快適なので、リクライニングシート搭載車が来なくてもそこまでガッカリすることは無いと思います。
主な走行区間
- 根室本線(音別~釧路~根室)
- 釧網本線
- 石北本線
- 宗谷本線
- 留萌本線
- 函館本線(深川~滝川)
特急すずらん(室蘭~東室蘭)
特急すずらんは、札幌~東室蘭~室蘭を結ぶ特急ですが、このうち東室蘭から室蘭までは普通列車で運行されます。
普通列車の区間は全車自由席になっています。その中で、特に乗り得なのが4号車のuシート車両です。座席の幅やシートピッチも広くコンセントも付いている座席で、他の車両よりグレードが高くなっています。
特急おおぞら・とかち(新得~新夕張)
石勝線の新得~新夕張間は普通列車の運転がないため、新得~新夕張間各駅相互間で特急列車に乗車する場合のみ、普通乗車券や青春18きっぷのみで特急列車の自由席に乗車することができます。
新得~新夕張間は1時間ほどかかるので、青春18きっぷの特急乗車特例区間の中では、最も長く特急に乗車できる区間です。
しかし、石勝線の追分~新得間を走る列車が1日に2.5往復(下り2本・上り3本)しかなく、どれも接続が悪いので、あまり実用的な乗り継ぎではないかもしれません。
注意点
新得~新夕張の区間以外に跨る利用は、全区間の乗車券・特急券が必要です。
例えば、新得から追分まで特急に乗る場合は、新夕張から追分までの乗車券・特急券を追加しても乗れないことに注意してください。新得から追分までの乗車券・特急券が必要です。
また、新夕張に止まらない特急「おおぞら」も存在するので、注意してください。
青春18きっぷに追加料金を払えばリクライニングシートに乗れる列車
uシート
エアポートに使用される721系(イメージ) エアポートに使用される733系(イメージ)
先述した通り、新千歳空港~札幌~小樽間を走る快速「エアポート」には、uシートという指定席が連結されています。
快速エアポートは混雑する人気列車なので、課金する価値は高いと思います。
指定席はテーブル付きのリクライニングシートとなっており、指定席料金は通年で530円となっています。
(昔は300円で乗れたのですが、値上げされてしまいました。)
快速エアポートには、721系と733系が運用されていて、721系が転換クロスシート、733系がロングシートの座席となっています。
733系の快速エアポートでは課金する価値が相対的に高くなりますが、エアポートの使用車両は日によって変わるため、確認できないのが実情です。
ホームライナー
函館本線手稲→札幌では、朝のみ特急の出庫を兼ねたホームライナーが運転されています。途中停車駅は無く、平日のみの運転です。
乗車整理券は100円となっていて、非常に安価です。このホームライナーの特徴の一つがグリーン車も開放されることで、キハ261系のグリーン車にも100円で乗れてしまいます。
手稲から札幌までの短い区間の運転であり、所要時間も20分かからないくらいなので、青春18きっぷの移動としては利用価値はあまり高くありません。ですが、「18きっぷで特急のグリーン車に乗ってみたい!」という方にはおススメできる列車だといえます。
北海道新幹線(奥津軽いまべつ~木古内)
乗り得かどうかは微妙ですが、青春18きっぷに追加料金を払えば乗れる列車なのでまとめておきます。
青春18きっぷで津軽海峡を越え青森~函館を移動する場合、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入することになります。
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は、青春18きっぷと組み合わせて使うことで、奥津軽いまべつ~木古内の北海道新幹線の立席と木古内~五稜郭間の道南いさりび鉄道に乗車できる切符です。値段は2490円です。
奥津軽いまべつ~木古内間の乗車券+立席特急券が3200円、道南いさりび鉄道の運賃が980円なので、一応もとは取れる切符となっています。
奥津軽いまべつ~木古内間の乗車時間は30分強なので、割と長く新幹線に乗ることができることはメリットではあります。
北海道・東日本パスで乗れる乗り得列車
「乗り得列車」と定義するのは微妙なところですが、北海道・東日本パスでは、特急券の追加だけで特急列車に乗れる区間があるので紹介しておきます。
北海道新幹線(新青森~新函館北斗)
北海道・東日本パスでは、新青森~新函館北斗間の各駅相互間に限り、立席特急券を追加購入すれば北海道新幹線の空いている席に乗ることができるという特例が存在します。青函トンネルには北海道・東日本パスで乗れる普通列車が走っていないので、新青森~新函館北斗(函館)間を北海道・東日本パスで移動する場合は北海道新幹線への課金がほぼ必須となります。
新青森~新函館北斗の立席特急券は4000円となっています。少々値が張りますが、新青森~新函館北斗の運賃3190円を節約できると考えれば悪くはないと思います。
さらに安く青森~函館を移動したい場合は、津軽二股まで津軽線で移動し、奥津軽いまべつ駅まで徒歩連絡し、そこから北海道新幹線に乗車することもできますが、接続もあまり良くなく時間もかかるため、新青森~新函館北斗間すべて新幹線に乗るのがコスパが良いと思います。ちなみに、奥津軽いまべつ~新函館北斗の立席特急券は2850円となっています。
なお、石勝線の「おおぞら」「とかち」の特例と同様、乗り越した場合は全区間の運賃・特急券が必要です。
道内特急(オプション券)
ここ数年、「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」という、北海道・東日本パスに追加して北海道新幹線の空いている席と北海道内の特急の自由席に乗り放題になる神のような切符が発売されています。
値段は1日で6110円となっています。一見高いように見えますが、新青森~新函館北斗間で北海道新幹線を利用すると4000円かかるので、それに追加で特急北斗に乗車し一気に北上することも可能です。そのように考えるとかなりコスパが良くなっています。特急に乗ると、青森から一日で釧路、網走、稚内などの都市に行くことができるので、長距離移動したい場合はかなりの時間の節約になると思います。
観光列車
青春18きっぷや北海道・東日本パスで乗れる、「ノロッコ号」といった観光列車はこちらの記事でまとめていますので、ご覧ください。
コラム:記憶に新しい過去の乗り得列車
特急スーパーカムイが化ける快速エアポート
快速エアポートについて上でご紹介しましたが、2016年(北海道新幹線開業の年)までは、旭川~札幌間を走行するエル特急「スーパーカムイ」が、札幌で快速エアポートに化けて新千歳空港まで乗り入れてきていました。
決して長くない乗車時間である札幌~新千歳空港間をリクライニングシートで移動できるとあって、青春18きっぷの乗り得列車として名をはせていました。
また、uシート(当時はエアポートの指定料金が300円だった)を取れば、コンセント付きの幅広いデラックスな座席に確実に座ることができ、大変な乗り得列車でした。
しかし、混雑の常態化と北海道新幹線開業に伴う車両の転配などの様々な環境の変化により、L特急「スーパーカムイ」の新千歳空港乗り入れは廃止されてしまいました。
今後は733系の投入が進むこともあり、ロングシート車の割合が高くなりつつある快速エアポートですが、特急車両が新千歳空港まで乗り入れていたということは記憶に留めておきたいところです。