JR西日本が「どこでもドアきっぷ」を発売
JR西日本は、映画ドラえもんとタイアップして、「どこでもドアきっぷ」を発売します。 ⇒公式プレスリリース
この記事では、「どこでもドアきっぷ」のお得度と活用法を検証していきたいと思います。
「どこでもドアきっぷ」の要点は以下の通りです。詳しい内容はプレスリリースを参照してください。
2日間用
- JR西日本全線乗り放題
- 大人・土休日用:12000円
- 大人・平日用:15000円
- 子供用(全日):2000円
3日間用
- JR九州・四国・西日本 全線乗り放題
- 大人・土休日用:18000円
- 大人・平日用:20000円
- 子供用(全日):3000円
共通事項
- グリーン車用の設定あり(大人のみ、+5000円)
- 特急自由席に乗り放題
- 指定席を6回まで利用可能(グリーン車用はグリーン車を6回まで利用可能)
- 2人以上、同一行程に限り発売
- ネット限定販売(e5489・JR九州インターネット予約)・7日前までの発売
- 主に、金・土の利用開始が土日用の発売、日曜日の利用開始では2日間用が土日用、3日間用が平日用の発売(運賃カレンダーはプレスリリース参照)
以上が「どこでもドアきっぷ」の要点です。他にも注意事項や制限がありますので、公式サイトでご確認ください。
それでは、「どこでもドアきっぷ」はどれだけお得なのか、検証していきたいと思います。
山陽新幹線に片道乗るだけで元が取れる
この切符は爆安なので、なんと2日間用なら博多~新大阪に片道乗るだけで元が取れます。
運賃例
- 新大阪~博多 のぞみ指定席:15600円
- 「どこでもドアきっぷ」2日間・土日:12000円
- 「どこでもドアきっぷ」2日間・平日:15000円
JR九州も乗れる3日間用なら、山陽新幹線・九州新幹線を片道乗るだけで元が取れます。
- 新大阪~鹿児島中央 みずほ指定席:22630円
- 新大阪~鹿児島中央 さくら指定席:22310円
- 「どこでもドアきっぷ」3日間・土日:18000円
- 「どこでもドアきっぷ」3日間・平日:20000円
往復乗ることを考えると、割引率は相当なものになるのがお分かりいただけると思います。
考えられる活用法
と、ここまでは簡単な運賃比較をしてきましたが、考えられる活用法について述べていきたいと思います。
往復+簡単な観光(あまり移動せず、ライトに旅行するタイプ)
新幹線で往復して、簡単な観光をするだけでも簡単に元が取れます。
(平日だけでも元が取れてしまう切符なので、、、)
例えば、福岡に住んでいる方が2日間用で関西に新幹線で往復したり、関西に住んでいる方が3日間用で熊本や鹿児島に旅行する、などといったことも考えられます。
乗り鉄・乗りつぶし
ここからが本題です。「どこでもドアきっぷ」は、爆安切符であり特急にも乗れるので、乗り鉄に最適です。
特に、関西に住んでいる方が九州に新幹線で趣き、JR九州の観光列車に指定を取って乗りまくる、といった活用法が考えられます。
関東・静岡・愛知などの中部地方に住んでいる方も、JR西日本の営業エリア(米原・亀山・上越妙高)まで行ってしまいさえすれば切符が使えるので、往復を考えてもお得です。
「どこでもドアきっぷ」の攻略・考えられる小技
「どこでもドアきっぷ」を使うときに使える小技を検証していきたいと思います。
3日間用で四国に行くのは(相対的に)少しコスパが悪い
3日間用ではJR四国にも乗車することができます。JR四国の特急列車は特段安いわけではないので、お得ではあります。
しかし、これは比較論になってしまうのですが、JR四国が発売しているフリーパスにはお得なものが多数あり、この「どこでもドアきっぷ」と比較しても遜色ないものが多いです。なので、北陸から四国に向かうなどの、JR西日本の長距離を往復する利用を除けば、四国に行くのは相対的にあまりお得ではないといえます。
例)4日間特急グリーン車で20950円、誕生月に買えるバースデイきっぷが特急自由席3日間9680円 など
ただ、これはあくまで他と比較した場合の話なので、四国に「どこでもドアきっぷ」で行くのは充分お得です。「他の切符と比べると劣るかもしれない」という話です。
北陸新幹線に乗り、上越妙高まできっぷを使って北陸新幹線を安く乗り鉄する
JR西日本に全線乗れるので、関東在住の方が、北陸新幹線で帰京するときに上越妙高~関東の新幹線を別に払えば、金沢方面~上越妙高まで「どこでもドアきっぷ」で乗車できるでしょう。
しかし、関東から北陸に行くときには、きっぷの引き取り場所が関東にはないので、使える方法ではありません。
指定の使いどころ ~みずほ・さくら指定席や、観光列車に使う
切符の有効エリアが幅広いだけに、どの列車で指定席を取るか迷うかもしれません。
そこで、「指定席の方がグレードが高くなる車両」や、「混雑する長距離列車」、「途中駅から乗車する列車」などに使うことをお勧めします。
指定席の方がグレードが高くなる列車の筆頭は、九州新幹線直通のみずほ号・さくら号が筆頭です。みずほ・さくらの指定席では、自由席の3+2の配列と異なり、2+2の4列シートとなっているので、座席幅が広く大変快適です。みずほ・さくらの指定席を確保すると指定席6回分が活きるでしょう。
混雑する長距離列車は、関西と北陸を結ぶ特急サンダーバードなどが挙げられます。指定席を取ると安心して利用できると思います。
また、九州の観光列車も指定券の使いどころとして最適だと思います。観光列車は自由席が少なかったり、また混雑したりするので、指定席を取った方が幸せになれます。
グリーン車用の攻略 ~最大限おトクに使うには
さて、「どこでもドアきっぷ」の真骨頂である、+5000円で購入できるグリーン車用について、「6回グリーン車に乗れる権利」を最大限活かすにはどうすれば良いかを徹底検証していきたいと思います。
「そんなことを考えるような奴はグリーン車に乗るな」と言われればごもっともですが、あくまでも検証なのでどうかお許しください。。。
みずほに乗るとグリーン車用の元は1回で取れる
まず、グリーン車に乗るときに価値を最大化できる列車は、「正規のグリーン料金が高い」列車と、長距離列車だと言えます。
その点で考えると、九州新幹線直通の「みずほ」のグリーン車が一番お得です。
なんと、新大阪~鹿児島中央のグリーン車と自由席の差額は、 10070円 です。(驚愕)
九州新幹線と山陽新幹線のグリーン料金を別に計算するため、このような差額が出ます。これだけで、グリーン車用+5000円の元は取れてしまいます。
九州新幹線グリーンと西日本グリーンが得すぎる
グリーン料金はJR各社によって異なります。JR九州、四国、西日本のグリーン料金を検証していきたいと思います。
JR九州のグリーン料金(在来線)
- 100kmまで 1050円
- 200kmまで 1600円
- 201km以上 2570円
JR九州のグリーン料金(新幹線)
- 100kmまで 1050円
- 200kmまで 2100円
- 201km以上 3150円
JR西日本・四国のグリーン料金(北陸新幹線以外)
- 100kmまで 1300円
- 200kmまで 2800円
- 400kmまで 4190円
- 600kmまで 5400円
- 800kmまで 6600円
- 801km以上 7790円(なお、西日本完結で801km以上のグリーン車に乗れる区間はありません)
北陸新幹線のグリーン料金
JR西日本の中でも北陸新幹線だけは、JR東日本の安いグリーン料金に合わせられています。JR東日本と西日本の境界駅となる上越妙高から金沢間の営業キロは168.6kmなので、200kmまでのグリーン料金を挙げます。
- 100kmまで 1050円
- 200kmまで 2100円
- 300kmまで 3150円
- 700kmまで 4190円
以上から、JR九州と北陸新幹線はグリーン料金がもともと安く、西日本が割高なことがわかります。なので、JR西日本やJR四国のグリーン車を取った方が相対的に見ればお得です。しかし、JR四国のグリーン車は私的に見るとあまり旨みを感じません(理由は後述します)。
またJR九州は、高い割引率を誇る「九州ネットきっぷ」などでもグリーン車に安く乗ることができます。その一方JR西日本は、グリーン車の安売りをあまりしない傾向にあります。
なので、せっかくお得にグリーン車に乗れる機会なのですから、JR西日本の特急や新幹線のグリーン車に乗った方がお得です。
JR九州のグリーン車は、コロナ禍でなくても安く乗れます。
四国グリーン…四国グリーン紀行とバースデイきっぷがお得すぎて、あまり旨みを感じない
JR四国のグリーン料金は、正規で乗るとJR西日本と同じく高いです。また、JR四国列車単体ではあまり割引しないのでお得感は高いです。
しかしJR四国はコロナ禍にかかわらず、通年で「四国グリーン紀行」(4日間20950円)と「バースデイきっぷ」(誕生月のみ3日間13240円)という激安でグリーン車に乗れる切符を発売しています。しかも、これらの切符はグリーン車の利用回数の制限がなく、何回でもグリーン車に乗ることができます。
四国ではこの切符を通年で買えることを考えると、「どこでもドアきっぷ」を使ってわざわざ四国に行く旨みは少ないように思えてきます。
まとめ
「どこでもドアきっぷ」はその切符の名前もさることながら、そのお得さも近年では前代未聞の切符です。
特に、普段あまり割引しないJR西日本に安く乗れる機会はそうありません。 私個人的には、九州・西日本・四国の3つから行先を選ぶならば、100%西日本を選びます。
ただ、二人以上・同一行程での発売という点が玉に瑕です。友達や家族と旅行するときには便利な切符ですが、一人旅で使えないのは少し痛いです。
最後に、この記事では「どこに乗ると正規と比べておトク」などと散々述べてきましたが、行きたいところに行った方が一番楽しいです。あくまでも参考程度にお使いください。